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 2004年 3月21日  「初心」
 
 さてさて、いきなりの新コーナーです。
 本家のKawasaki Photo Studioでは「自然風景写真」を中心にやってきて、「雑感」にも書きましたが実際のところ必ず「きっちり」「かっちり」撮ることに少々飽きました。「別に絶対にピントや露出が合っていなくたって良いんじゃないかな?初心に戻って写真を撮ること自体をもっと楽しもう!」という気になりました。街をぷらぷら歩きながら気になるモノを見つけたらピントも露出も適当にその場でシャッターを押すみたいな感じで。というわけでこのページ全体を、エンジン音を聞きながら風を感じて運転そのものを楽しむオープンカーと同じように自由気ままに写真を楽しもうということで、「Cabriolet(カブリオレ)」と名付けました。さらにこのモノを書いているページは「Out of Focus(ピンボケ)」というタイトルで「雑感」以上に、どーでも良いことを気の向くまま書き綴っていこうと思っております。

 写真関係中心の話になるような気がしてますが、はっきり言って今後どっち方面に行くか全く考えておりません。そもそも不特定多数の方に向かって何かを書くということは相手が見えませんから、どのレベルに合わせて書けば良いのか悩むことが多いのですが、ここではあまりそういうことも気にせず思うがまま書いていくつもりです。よって、私の関心のあることに興味が無い方が読むと非常にわかりにくい内容になるかもしれないことを先にお伝えしておきます。


 
 2004年 3月29日  「動機」
 
 
現在、フィルム一眼レフは完成されたような気がする。創世記の60年代から各社競争の中で進化を続けた結果、最高速シャッタースピードが1/8000秒や1/12000秒にまで達し、もはやこれ以上速くなる必要性はあまり意味が無くなった。フィルムの巻き上げは、モータードライブで1秒間に10コマも撮影可能。また測光系では、多分割測光に基づく高性能なAE(自動露出:任意の絞り値もしくは、シャッタースピードを決めるだけで適切な露出で撮影が出来る)、そして80年代半ばに発売されたミノルタのα7000から一眼レフはAF(オートフォーカス)が当たり前になり、今ではファインダーを通して見たところにピントが合う「視線入力AF」にまで進化した。もはや撮影者は構図の決定だけを任され、あとは若干の意志を反映すべく、演算された露出値に微妙な修正を加えシャッターを押すだけになった。
 今までは新機能を搭載した新型がデビューするたびに、「おおっ!これは凄い!買うしかない!」と購買意欲に火がついたものだが、ここ数年はあまりそういう気にならない。
もう機能アップは不必要と思うし魅力を感じないから。ということは、もうフィルム一眼レフを買うことは無いのだろうか?いや、カメラは機械であるから、いつかは壊れる。その時に新しいモノが欲しければ買うだろう。でも長年使って愛着があるカメラなら修理して使い続けるだろう。ただ取扱説明書には必ず、「本製品の補修部品は製造終了後10年間を目安に保有しております。」 と書いてある。壊れても修理出来なくなる時がやがて訪れてしまう。電子化によって高性能になった現代のカメラは基盤が壊れてしまえば間違いなく修理不能になる。どんなに高性能でお気に入りのカメラでも。
 3年ほど前に当時最高スペックを誇ったコンパクトデジカメを購入したが、今では普及機以下の性能になった。そしてその代替として現実的な価格になりつつあるデジタル一眼レフを購入しようと考え始めた時に、
「今度のデジカメは何年使えるかな?」ということを思った。またすぐに高性能な新型が発売され、そしていつかは壊れて使えなくなる。もう、そんな繰り返しに厭きてきた。そしていつの間にか、一生涯使い続けることが出来て、カッコいいカメラが欲しくなった。そう、あのカメラである。


 
 2004年 4月30日  「発病」
 
 長い潜伏期間を経て、とうとう発病した。10年くらい前にも一度発病しかけたが、その時は思いとどまった。感染したのはおそらくカメラを趣味にしてしばらく経ってからのことだと思う。何かのカメラの本で見た、なんとなくボヤーっとしてる白黒の写真。説明書きを読むと、
「ライカ」というカメラで撮った写真だった。その時は特に何とも思わなかったのだが、関連の雑誌などでライカの記事を頻繁に目にするうちに少々気になり始めた。調べてみると、映画用のフィルムを転用して世の中に35ミリカメラを送り出した歴史有る偉大なドイツのライツというメーカー(今は社名も「ライカ」に変わっている)が製造している高価なカメラだと知った。ただ露出計もAEもAFも付いておらず、デザインも何となくクラシックで魅力を感じなかった。ライカで撮った作例も街角の何気ない景色ばかりで特に気にとめなかった。以前発病しかけた時には、既に風景写真をメインに撮り始めていたので、高性能な機能を満載した最新のカメラに落ち着いた。ほとんど撮影もしない「コレクター」という存在の対象になり、投機的な扱いになっていたこともあり、「金持ちのおじさんが楽しむカメラ」としてライカは私にとっては無縁のモノと割り切った。ただ一つだけ凄いと思うことがあった。それは戦前に製造された50年以上も前のカメラが今でも、写真が撮れるということ。ほとんど全ての部品が金属で作られていて、さらに電池も不要で全く電子制御されていないから。そして現在製造されている最新のライカも一部の機種を除けば、同じように今後数十年以上も使っていけることが出来るであろうということ。
 戦後、ライカに追いつき追い抜くことに必死だった日本のカメラメーカーは1960年代に「一眼レフ」の商品化に成功し、次から次へと最新の技術をまとったカメラを市場に送り続け現在に至る。いつの間にかライカは時代に取り残されるかたちになり、未だに目新しい機能を持たぬカメラを製造している。それはただ単に技術力の差ではなく、これは思想の違いなのかもしれない。日本のメーカーは常に最新鋭のカメラを開発し続ける道を歩むことを選び、各社が開発競争をおこなった結果として、常に新型が発売され旧型が陳腐化して古くなっていくスピードが早まった。それに対してライカが選んだ道は、機械式カメラで構造をシンプルにすることによりメンテナンスさえしっかり行えば
永遠に使い続けることが出来る耐久性と信頼性のあるカメラを製造し続けることだったのだろう。カメラに必要最低限の機能は、シャッタースピードのコントロールが出来て、フィルムが巻き上げられれば写真を撮ることは出来る。あとは撮り手の経験値。日本のメーカーの最新鋭のプロ用一眼レフも、オートで撮影可能でもあるが、経験豊富なオートを好まない撮り手がオートを解除して簡単にマニュアル制御出来る様になっていることからも明らかである。そして、それに気が付いてしまった今になって思うこと。
 
「そうだ、ライカを買おう!」


 
 2004年 5月 2日  「選択」

 さてさて、とうとう購入を決意した。では何にしようか?カメラとレンズを決めなければならない。今まで購入するときは、使ってみたいスペックのカメラやレンズが当然ながら決まっていたものだが、今回はちょっと異なっていた。そう、「ライカ」というメーカーの製品を買うことだけが先に決まってしまったので、自分にとって何が良いのか研究しなければならなかった。幸いにもライカ関連の書籍は溢れているので資料は簡単に手に入った。(そうそう、もし私と同様にライカを購入しようと思っている方は絶対に先に基礎知識を身につけておいた方が良いと思う。)それではブランド志向の感が強いような気もするのだが否定するつもりはなく、その通りだと思う。でもカメラ好きにとっては、ドイツのライカとカールツァイスは特別な存在で、いつかは使ってみたいカメラ&レンズである。
 どうやら
カメラは「M3」、レンズは「初代ズミクロン35mm」が良いらしい。でも共に1950年代に製造されたモノなので中古でしか手に入らない。いきなり50年以上も前の高価な中古の善し悪しを見極める目を持たぬ者にとって、これらの機種の購入はかなり無謀だと判断し、新品で買える機種で検討を開始した。そうなると、カメラは「M7」「MP」ということになる。ちなみに2003年まで製造していた「M6TTL」もお店によっては在庫があるらしいが、わざわざ探すのも面倒なので却下。2002年に発売された「M7」は電子制御シャッターを装備し、絞り優先が出来るAE機。21世紀になって、ライカも国産メーカーから遅れること30年でとうとうM型にAEを搭載した。絞りを決めれば適切なシャッタースピードを自動選択してくれる。一方「MP」は2003年にデビューした最新鋭機。機能は...露出計が付いている。シャッタースピードと絞りの組み合わせの露出に過不足ないかファインダー内に表示にしてくれる。問題があれば適切になるようにシャッタースピードか絞りを調整するマニュアル機。ということは、21世紀のライカは電子制御のAE機と完全機械制御のマニュアル機の2本立てである。「M7」は国産一眼レフと同じで電池が無くなれば撮影出来ない。それに対し「MP」は電池が無くなると、露出計は作動しなくなるが、シャッターは切れる。当然のごとく、私は後者の「MP」に決めた。
 頭に「M」が付くライカは「M型」というレンジファインダー機である。レンジファインダー機とはカメラと被写体までの距離を測定する距離計を装備し、三角測量の原理でカメラの左右二つの視点から被写体を見て合成した二重像をファインダー中央部に表示し、これをピントリングを調整して合致させるとピントが合うカメラである(意味がよくわからない人は読み飛ばしてね)。さらに一眼レフは、レンズの焦点距離に応じてファインダーで撮影範囲(画角)が変動するが、レンジファインダー機は画角に応じたブライトフレームという撮影範囲を示す白い枠が表示される。つまり広角レンズではファインダー内に大きく白い枠が表示され、望遠レンズではファインダー中央部に小さく白い枠が表示されるのである。ここで、また悩みが発生。「MP」は
3種類のファインダー倍率があり、好みの倍率を装備したモノを選ばなければならないのである。ファインダー倍率とは実際に肉眼で見た被写体の像とファインダーを通して見た差を表していて、肉眼で見たままの大きさでファインダーで見えれば100%、つまり1倍ということになる。3種類あるファインダーは0.58倍、0.72倍、0.85倍の順で、ファインダー越しに見える像が大きくなるが、その反面で見える範囲が狭くなる。ピントの合わせやすさを重視すれば0.85倍なのだが、像が大きく見える反面、視野が狭くなり28mmの視野範囲がカバー出来ない。つまり広角の28mmレンズで撮影する場合はファインダーで見える範囲の外まで写り込んでしまうのである。逆に0.58倍ではファインダー内に広い視野が確保されているが、ピント合わせの二重像も小さくなり、ピント精度に不安がある。ということで、今まで使ってきた一眼レフのファインダー倍率に近かったこともあり、中をとって0.72倍に決定。
 次は色。「MP」には銀色の
シルバークロームと黒のブラックペイントが用意されている。ライカの黒モデルには黒色のクロームをメッキ加工した半光沢のブラッククロームと黒色の塗料を焼き付けた艶やかなブラックペイントの2種類あり、「MP」の黒モデルは後者のペイント仕様。「M6TTL」の限定品でブラックペイントモデルが有った様だが、通常生産品のブラックペイントは歴代のモデルでも、あまり無いらしい。高貴なイメージのシルバークローム、精悍なイメージのブラックペイント、う〜ん決められない...ただブラックペイントはクロームモデルより塗膜が弱く、長く使っているうちに剥げて下地の真鍮の黄金色が出てきてしまうらしい。それはそれで格好良いのだが、かなり高価な買い物なので、ずっと新品同様に大事に使っていきたいことを考えると、若干シルバークロームに軍配が上がる。とりあえずシルバークロームかな...
 レンズは
現行のズミクロンの35mmに決まり。一本目のレンズということで標準画角50mmのズミクロンや30年振りに復活した往年の名レンズである50mmのエルマーも候補だったが、スナップ中心でいくなら広角の35mmの画角の方が使いやすいから。
 よし!決まったぞ。あとは金策だけ。まあ、何とかなるだろう...(正確には「何とかするしかない」だけど...)

 
 2004年 7月 4日  「購入」

 新品のライカを購入するにあたって考えたことは、
正規輸入品並行品のどちらにするかということ。正規品はライカの販売権を有する日本シイベルヘグナー経由で仕入れられたモノでライカのメーカー保証が付いている。それに対して、並行品は販売店が独自に輸入したモノで、相場に応じた価格で販売されていて一般的には正規品より2〜3割安いようだ。ただ、メーカーの保証は付かず、代わりに販売店の保証が付いている。価格は並行品に軍配が上がってしまうが、今回の購入に際し重要なきっかけとなったのは、日本シイベルヘグナーがキャッシュバックキャンペーンを行っていたこと。カメラ本体は定価の10%、レンズは20%還元される。これはかなり大きい。どうやらMPは人気があるらしく並行品と若干の値引き販売している正規品+キャッシュバックを比べると、ほとんど変わらなかった。というわけで、メーカー保証のある正規品を販売している中野のフジヤカメラへ向かった。このフジヤカメラは中古カメラ&レンズで有名なお店ではあるが、新品も扱っていて価格も安い。新宿などの大型量販店のキャッシュバックポイントを考慮しても安いと思う。特に新品の中判カメラは絶対に量販店より安い。中古の品揃えも充実しているし、店員さんも親切でお気に入りのお店。率直にライカを初めて購入することを告げて、気になっていたファインダー倍率も中古のM6TTLの0.72倍と0.85倍をショウウィンドウから出して確認させてくれた。初めて触れたライカ。ズッシリとして重たく、いかにも金属の塊という感じがした。ファインダーを覗いて比べてみると予想通り0.85倍の方が像が大きく見えてピントも合わせやすかったが、0.72倍でもそれほど気にするほどでもなかった。そのうち28mmのレンズを使うこともあるかもしれないので、0.72倍に決めた。そして色については、とりあえずシルバーに決めていたのだが、念のために見比べることにしたところ、なんとブラックペイントは塗装品質に問題が発生し、ドイツ本国に返品され再販売の時期も未定ということだった。「これも運命かな?」と思いシルバークロームに決めた。レンズは当初の予定通り、ズミクロンM35mmだったのだが、あいにくお店に在庫が無く取り寄せになってしまい、入荷後にカメラ本体と一緒に購入することにした。3日後に電話連絡があり、ついにライカのオーナーになった。
 家に帰って箱を開けると、中にはなかなか立派な化粧箱が入っていた。最近の一般的な包装は、無機質な段ボールと発泡スチロールに収められていることが多いのだが、やっぱりカメラは高価なモノだから、決して開封後は使用することのない箱であっても、豪華な箱に入っていると嬉しいものだ。出荷時に検査した方の手書きのサイン入りの検品証も心憎かった。次にレンズの箱を開けるとそれは革製のポーチに包まれていた。多分このポーチは使わないと思うのだが、やっぱりゴージャスな感じがして嬉しい。一応、説明書に目を通す。本来であれば熟読しなければならないのだが、何の機能も付いてないのだから、基本的なカメラの使い方がわかっ
ていれば、露出計用の電池の入れ方とフィルムの装填方法がわかるだけで十分。そしてカメラとレンズの赤い指標に合わせて装着する。両手で構えてみると3日前に初め触れてはいたのだが、やっぱり大きさの割には重量感があり金属の冷たさを感じたのと同時に何とも言えない満足感があった。初めて一眼レフを手に入れた20年前の想いと、憧れのCanonのプロ用のフラッグシップ「EOS-1n」の箱を開けた約10年前の気持ちと同じだった。「EOS-1n」を購入した後に中判の「Mamiya RZ67 PROU」と「PENTAX 645nU」の箱も開けてはいたのだが、これほどの想いは感じられなかった。
 ファインダーをのぞいてピントを合わせてシャッターを切る。フィルムは入っていなかったが、これがライカでのファーストショット。控えめな
「カチャッ」という小さな音がした。モータードライブ付きの一眼レフでは「バシャッ!」と、かなり大きな音がするのが当たり前だったので新鮮だった。早くフィルムを入れて撮影し、どんな風に撮れるのか楽しみだったが、会社帰ってから部屋の中を撮ってもつまらないので、その楽しみは週末までお預けとなった。

   
 2004年 7月18日  「旅立」

 最近、このページの更新が遅れ気味です。いよいよライカでの撮影についてですが、これから書くことは今年の3月にライカを購入した直後のことなので、もう4ヶ月も前のことなんです。リアルタイムに追いつくべく書くペースを早めなきゃなりませんな。
 さてさて、いよいよフィルムを装填して撮影です。マニュアル本と説明書を読んで知ってはいましたが、このフィルム装填が面倒くさい。底蓋をバカッと外して装填するのですが、裏蓋を開けてフィルムをちょっと出して蓋を閉めるだけで装填出来るカメラが当たり前の時代ですからねぇ、ちょっと緊張します。シャッターを切って巻き上げると、フィルムが入っていない時と比べて若干重たく感じ、巻き戻しノブが回転しているので、ちゃんと装填出来ていることに安心する。でも、街中で立ったまま装填出来るかなぁ?ライカの達人たちは外した底蓋を薬指と小指に挟んでフィルム交換するらしいけどね。
 撮影はファインダー内の露出の±の表示を見てシャッタースピードと絞りを調節し、ピントはファインダー中央部の二重像を合わせるのは先に
書いた通りだが、やっぱり難しい。二重像の合致に戸惑ってなかなか速写出来ない。まあ、「慣れ」の問題かな?それよりもっと難関が被写体探し。風景写真では、それなりの撮影地に出向いて行くので、被写体は向こうから歩み寄ってくるところがあり、その中で自分にとって特に印象的だったり、イメージに近い時空間を切り取る感じに対し、街中にカメラを持ち出すということは、目を凝らして被写体を探す行為に集中しなければならない。最初のうちは何を撮れば良いのか全くわからなかった。なんか自分のセンスがダイレクトにフィルムに焼き付けることの様に思えて困惑したのだが、この考え方はすぐに間違いだと気が付いた。「先入観を抜きにして、自分が気になったモノ、何かを感じたモノを気楽に素直に撮ろう!」と。フィルム1本目は、テストショットの意味もあるので、同じ被写体で絞りやシャッタースピードを変えながら撮っていたので、すぐに撮り終え現像に出した。出来上がりは翌日。早いところなら数時間で同時プリント出来るのだが、白黒フィルムだったので時間がかかるらしい。確かにデジカメ全盛の今どきに白黒で撮ってる方が珍しいだろうから仕方ない。でも、この待たされている時間って期待や不安など色々思いをめぐらせて結構楽しいモノ。
 そしていよいよ待望の時がやって来た。袋を開ける瞬間は、ある意味で合格通知を見るような何とも言えないドキドキ感。何枚かめくっていくうちに、複雑な気持ちになった。確かに良く撮れていた。というより予想以上に良く撮れていたのだが、自分が今まで撮ってきたモノとは明らかに違う。ピントの合っている範囲のエッジが細く鋭いのだが、ピントが外れているボケの部分が柔らかく、とろけている感じ。そのためか主要の被写体が浮き出ていて、
もの凄く立体感がある。一眼レフを手にして20年以上も写真を撮ってきたが、今まで撮ってきたモノを否定されたような、とてつもないショックを受けた。「写真」って字のごとく、ありのままの真実を写していると思っていたのだが、レンズによってこれほどまでに異なってしまうことに驚愕した。同一条件で撮り比べたわけではないので正確なことは言えないが、おそらく今まで私が撮ってきたレンズでは同じ様に撮れないだろう。いったい何が真実なんだろう?誤解を避けるために付け加えると、今まで使っていたカメラ&レンズがダメと言うつもりは全くない。富士山をはじめとする風景写真は相変わらずそれらで撮るのは間違いないし、「ライカ」では機構上で過酷な自然環境では撮れなくは無いが、撮りにくい状況が想像出来る。(でも、ライカでひたすら風景撮るのも良いかも?多分、あんまりチャレンジされてないと思うから新しいよね。) これは以前にも書いたが、メーカーの思想の違いであり、使い手が状況に応じて最適な機材を使い分ける必要があるということだろう。(←贅沢な話ですなぁ)
 とにかく、私の「写真感(たいそうなモノではないが)」を揺るがすショックを受けたことにより、いつの間にか終わりが見えないであろう
「ライカ放浪旅」が始まった。
  

   
 2004年 9月15日  「歴史」

 長い歴史があるライカは多種のレンズを世の中に送り出してきた。常に新しい技術を投入しモデルチェンジを繰り返し、現在のラインナップに至っている。カメラやレンズは工業製品なのであるから当然、最新モデルは旧モデルより性能が良く、一般的には誰もが高性能な新型の方を欲すると思うのだが、どうもライカについては一概にそうでもないようなのである。と言うのは、中古市場で旧モデルの方が新モデルより高値で取引されているモノが結構あるからである。
 その理由の1つは「レア物」。生産されていた当時に限定品であったり、あまり売れなかったために生産数が少なく稀少価値があるモノ。

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