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 2006年 1月 1日  「念願成就」
 
 みなさん、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
 さて、今回は昨年の12月中旬に北海道の釧路へ鳥見に行った撮影記です。冬の釧路と言えばずばり、タンチョウの撮影です。私が写真を撮り始めたきっかけの一つにテレビドラマ「池中玄太80キロ」があります。玄太が雪原で、「鶴子ぉ〜、鶴子ぉ〜」と叫びながら鶴を撮影していたシーンが強烈に焼き付いています。また、タンチョウといえば、富士山と並ぶ日本の代表的な自然美のツートップということで、以前から非常に撮ってみたい被写体でした。ただし、その夢を実現するには乗り越えなければならない高い壁がありました。まず、第一にカメラの機材。まあ、これは長い撮影人生の中で少しずつ揃え、まだ最適ではありませんが、なんとか撮れるレベルの機材は用意出来ました。第二に、撮影技術。風景撮影の経験値と、昨年から始めた鳥撮影で培われたモノで、どうにか撮れる様な気がしてきました。直前は近くの川や池にいるサギをモデルにしてイメージトレーニング。第三は、防寒対策ですが、富士山撮影でも厳冬期にはマイナス15℃ぐらいにはなりますから、大丈夫そうです。そして最後が車の運転。雪道を走るのは年に片手で足りるぐらいですから、非常に心配でした。
 そして「そろそろ撮りに行こうかなぁ・・・」となんとなく思っていた矢先にチャンスが到来。なんと仕事で釧路に出張することになったのです。若干の不安はありましたが、絶好の機会を生かすしかないと心に決め、早速ネットで情報収集し予備知識を仕入れました。
 撮影当日は朝8時に釧路駅前でレンタカーを借りて出発。天気は青空が見えてはいますが、予報では夕方から雪。道路は前日の雪で所々凍結していました。恐る恐るアクセルを踏みながら市街地を抜けると、路面は氷の上にうっすら雪が積もった状態。ちょっとスピードを出すと、すぐに後ろから滑り始めるので、最高速度は30キロが限界。だんだん雲が多くなり焦る気持ちの中、手に汗を握りながら必死に、フラフラ、ノロノロ、冷や冷や運転しているのですが、他の車は平然とぶっ飛ばしているので、途中で何度も後続車に道を譲りました。軽自動車やダンプ、しまいにはバスにもブチ抜かれ、「 くそぉー!今度は俺の地元の乾いた道で勝負だぁ!」と呟きながら、35キロしかない距離を走るのになんと1時間半も掛かり、「鶴居伊藤サンクチュアリ」に到着したのは10時前。既に運転でヘトヘトで、テンションは下がり気味でしたが、車を降りると「クォー、クォー」という鳴き声が聞こえてくるので、急いで身支度をして声がする方へダッシュしました。
 おぉ〜、いたいた。憧れの野生のタンチョウが。感動です。長年、夢見たタンチョウが目の前に、しかもこんな近くに。あれっ?でも、ちょっと多すぎない?
イメージでは数羽が雪原に佇んでいるはずなんですけど。まだ野鳥の会に入っていないので、正確には数えられませんが、100羽じゃきかないんじゃない?
 そもそもここのサンクチュアリはタンチョウの保護のために給餌場があるので、多いときには300羽くらい飛来して集まってくるそうです。
   
   憧れのタンチョウを目にして、しばらくは感慨にひたりながら眺めていました。夫婦で呼び合う様に鳴く姿。嘴で雪をつついて食べ物を探し、子供に与える様子。お互いに大きな羽根を広げてジャンプする様はまるでダンス。寒さに耐えているのか首を屈めて片足で眠っている姿。とりわけ、空を舞う姿はとても優雅で美しく、また豪快でもありました。
 一息ついて、撮影開始。う〜ん、何処を撮ろうか?多すぎて的が絞れない。おっ!あっちでダンスが始まった。あっ!こっちでは2羽で上を向いて鳴き始めた。向こうでは、飛んでいる!あ〜忙しい...追いつかない。これでは「二兎追うモノは〜」状態なので、適当に選んでじっくり撮ることに方針を決める。ただ、やっぱり多すぎて背景に他のタンチョウが入ってしまい、雑然として構図がまとまらない。また露出が難しい。雪の白さを出そうとプラス側に振ると、タンチョウの羽根が白トビして質感が出ない。タンチョウを優先すると雪原が灰色にくすんでしまうのです。こういう場合は、やっぱりタンチョウをメインで撮っておいて、雪は画像処理するしかないようです。帰宅後、モニターでチェックすると、かなり厳しい結果でした。デジタルはラチチュード(明暗の再現幅)が狭いので、ネガフィルムが良かったかもしれません。
 夢中でシャッターを押し続け、あっという間に1時間。空は更に暗くなり、とうとう雪が降り始めました。予定では、あと2ヶ所で撮影するつもりなのですが、厳しくなってきました。全国的な寒波の影響で天候はさらに悪化するのは間違いなさそう。ちなみに帰りの飛行機は最終の20時15分発を予約済み。でも、道路状況が悪化し暗くなってからの運転や飛行機の運行が心配。一便早めるとすると15時発。なんだかんだ考えると、ここは12時には出ないと...う〜ん、悩む、あと1時間かぁ。そして葛藤しながら撮影を続け、結局、早く帰ることにしました。後ろ髪を引かれながら後片づけをして、12時過ぎに憧れの地を後にしました。
 空港までは約40キロ。朝のペースでは2時間弱かかる計算です。複雑な想いをめぐらせながら運転していると、ありゃ?少々スピードを出しすぎた様で、メーターを見ると何と70キロ。おかしいなぁ、普通に走っている。朝はおっかなびっくりで、せいぜい30キロしか出せなかったのに。いつの間にか雪道運転のコツを体で覚えてしまった様です。よっしゃ!これなら直線は大丈夫だ!コーナーの手前でしっかり減速しよう!と、ばかりに2速に落としたりして、雪道の運転も少しは余裕が出てきました。リズミカルに運転出来ることが嬉しくなり、またまたコーナー手前でシフトダウンしようとして、ついつい左足でペダルを踏んでしまい急ブレーキがかかり大慌て。
                            
 
 
 
そう、我が家の車はマニュアルなので、たまにAT車に乗ると、いつもの癖で減速時にアクセルをあおってクラッチを切ろうとするのです。あ〜恐かったぁ。そんなこんなで、空港までは45分で無事到着。飛行機も定刻通り飛んで帰京となりました。
 今回、長年の夢であったタンチョウ撮影が実現しましたが、まだイメージ通りのモノが撮れていません。そこで次回のテーマは以下に決定です。
     1.タンチョウのダンス
     2.クォー、クォーと上を向いて鳴いている嘴の先から湯気が出ているシーン
     3.青空を舞うタンチョウ
     4.朝焼けに染まる気あらし(川霧)の中に佇むタンチョウ
 野鳥の撮影を始めて約1年で約100種の野鳥を見ることが出来ました。日本には野生で約550種を見ることが出来るそうです。これからもまだ見ぬ野鳥との出会いを求め、精力的に活動していくつもりです。あれ?風景写真は?う〜ん、別々には時間的に無理でしょうし面倒なので、今年は野鳥と風景写真の融合を目標にしましょう。なお、Galleryにもタンチョウの写真をアップしておりますので、こちらからご覧下さい。
 

 
 2005年 6月11日  「初心者」
 
 自分でも驚くほど夢中になっているバードウォッチング。最近は以前にも増して週末の休みが待ち遠しくて仕方がありません。次の休みに何を探しに何処へ行こうかと考える平日も楽しくなりました。そこで頼りにしているのは「探鳥地ガイドブック」なるもの。有名なバードウォッチングスポットが紹介されていて、季節ごとに見ることが出来る可能性の高い野鳥が掲載されているガイドブックです。また、インターネットでの情報収集も重要です。野鳥で有名な公園などはホームページで「最近見られた野鳥リスト」みたいなものが掲載されていて、非常に重宝しています。そして目的地に着いたら、当然お目当ての野鳥を探すのですが、そう簡単には見つかりません。「この辺りにいるらしい」という情報だけですから、ある意味で
「宝探し」感覚です。その「宝探し」の大きな鍵の一つが、バーダー(バードウォッチングしている人々)探しです。双眼鏡、フィールドスコープや白や黒の大砲(超望遠レンズ)を持っている人が集まっている所には必ず何かがいるはずなのです。それがお目当ての野鳥が出てくる場所だったらラッキーで、そのまま脇っちょに入れてもらい野鳥を待ちます。待っている間は野鳥の名前から習性や撮影方法、他の探鳥地の情報などの参考になるお話を聞くことが出来ることもあり、とても有意義です。デジカメだと撮影時に名前がわからなくても、後で液晶モニターで見せて教えて頂けるので大助かりです。特に、雌雄・夏冬・成長度で色が異なる種類は初心者にとって識別が難しく、初対面にもかかわらず図々しく尋ねても、親切に教えて下さるたくさんの方々にいつも大変お世話になっております。このホームページにアップした画像のコメントが間違っていた際に、ご指摘頂いたこともあります。
 季節がら困っていることは木々の葉っぱです。葉っぱの無い冬場なら枝に留まっていれば見つけることも容易なのですが、葉っぱが生い茂っていると、なかなか見つけることが出来ません。鳴き声や囀りが聞こえる方を探してみても、簡単には見つけることが出来ません。だいたい鳴き声や囀りから種類を特定出来ないので、とにかく何でも聞こえる方を探している状態です。鳴いている瞬間ならば、「あれは何が鳴いているのでしょうか?」と聞くことが出来ますが、「さっき向こうで『チュピーッ』って鳴いている鳥がいたのですが、何でしょうか?」って聞くのは、ちょっと恥ずかしくて出来そうもありません。
 というわけで、これからも諸先輩の方々、ご指導の程よろしくお願い申し上げます。


 
 2005年 4月10日  「鳥見始めました」
 
 2005年の酉年に相応しい新コーナーです。
「野鳥」は以前から非常にチャレンジしたい被写体で、デジタル一眼レフとデジスコ(フィールドスコープにコンパクトデジカメを結合したモノ)の導入により長年の夢がとうとう実現しました。自然風景の撮影地でも綺麗な野鳥を見る機会が多かったのですが、名前がわからないのでポケット図鑑を持ち歩くようになりました。その図鑑で見たカワセミやルリビタキなどの青い鳥に非常に憧れたのですが、どこで見ることが出来るのか全くわからないし、野鳥撮影といえば乗用車が買えるくらい高価なバズーカ砲のような超望遠レンズが必要になることもあり諦めていました。7、8年前に友人M君からカワセミの撮影に誘われ、ついに憧れのカワセミを見ることが出来ました。それから約3ヶ月は撮影地に通い夢中で撮りまくりました。でも少々問題があっていつの間にか止めてしまいました。第1の理由はなかなか上手く撮れなかったからです。現像からあがったポジフィルムを見るとまともに写っているモノがほとんどなく、ピンボケ、ブレを大量生産。第2の理由は撮影スタイル。警戒心の強いカワセミを撮るためには「ブラインド」という小型のテントの中に身を隠していなければならず、夏場なんかは暑くて地獄状態。そんな過酷な経済的&肉体的な環境で、「見たい」「撮りたい」情熱がいつの間にか薄れていってしまいました。フィルム代を気にせず撮影出来るデジタル一眼レフを購入して、まず思ったことは一度断念したままのカワセミ撮影のこと。久しぶりに東京港野鳥公園に行ってみると、やはりデジタル一眼レフ+大砲レンズの組み合わせは多く、自然風景撮影の分野よりデジタル化が進んでいました。それ以外に気になる装備も多く見かけました。フィールドスコープの接眼部分にコンパクトデジカメがくっついているモノです。不思議に思ってお話を聞いてみると「デジスコ」といって、数年前から流行っているらしいのです。覗かせてもらうと、野鳥が超望遠レンズ以上のドアップで液晶モニターの中に写っていました。ネットで検索するとかなりヒットし、作例も素晴らしく衝撃でした。望遠鏡の覗くところにコンパクトデジカメを取り付けたモノでこんなにも鮮明に超望遠撮影が出来るのか半信半疑でデジスコの講習会に参加し、すっかりはまってしまいました。
 野鳥撮影を始めて感じたことは我々の身近にたくさんの種類の野鳥がいるということ。名前は聞いたことがあっても、どんな姿かわからない野鳥がたくさんいるということ。そんな野鳥たちをこの場で紹介していこうと思っています。
 

  
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